Lego imperial hotel - 21017 Instruction Manual

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設計と建設
ライトは18~20人の製図技師とともに帝国ホテルの設計に
取り組みましたが、彼以外の外国人はシカゴ出身の熟練技
術者、ポール・ミューラーだけでした。
設計と建設を進める上で最初に大きな懸案となったのは、東
京で頻発する地震に耐えうる建物をいかにしてつくるかとい
うことでした。ライトはよく、何世紀も自然災害に耐えた日本
の建築物を「地面の上に軽く建てられている」と言い表して
いました。
2.4メートルの表土の下に18~21メートルの沖積地が広がる
土地では、従来の基礎に必要な剛性は得られませんでした。
代わりに彼が考えたのは、浅く広い基礎を使って地面の上
に建物を浮かせることでした。こうすることで、ライトいわく「
ウェイターの指先に乗るトレイのようにバランスを取る」こと
が可能となります。そのほかにも、地震の脅威に耐えるため
に、さまざまな設計を施しました。たとえば床とバルコニーを
片持式にして強度を増大させたほか、建物に沿って20メート
ルごとに地震動を分離する結合部を置きました。そして低層
階に行くほど厚くなるテーパー壁を採用し、破壊に対する耐
性が高くなるようになめらかなカーブを全体的に施しました。
主要部分の材料は現場打ち鉄筋コンクリートと煉瓦コンクー
トで、また火山性岩石の大谷石を使用することで、大規模で
精巧な彫刻や装飾が可能となりました。ライトは日本の石工
の職人芸に深く感銘を受けていたため、彼らの才能を最大限
に生かせるように、当初の装飾のアイディアを大幅に修正し
ました。 
調度品は申し分ないものでした。家具は特定の座席区域やレ
ストラン用にデザインされたものです。壁をかざったのは、ク
ジャクをはじめ、複雑な模様の大谷石の彫刻です。そして天
井は手塗りされ、内外壁には金箔が施されました。100枚以
上のラグ とカーペットにはライト自身がデザインした抽象的
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